1、キャブセッティングに至るまでのプレセッティング キャブレター以外の不調要因の洗い出しとその対処法

  キャブレター本体やキャブセッティングに入る前に簡単なおさらいをしましょう。エンジンが良い爆発をする(気持ちよく回る)条件として

                 .良い圧縮
                 .良い点火
                 C.良い混合気     とよく言いますが、
 キャブレターのパートはCだけですからA,B.を中心にまず上の3要素の点検をお勧めします。不調要因がキャブ以外であることも意外と少なくないので、下記の点検を行うことにより少しでもそれが明確になればと思います。
      A. 良い圧縮
 各シリンダーのコンプレッションを測りある程度均一であればOKです。一般の方だと測定器具がないので無理な部分ではありますがまずほとんどないと思います。もし 仮にある気筒に異状があればエンジン不調(ガタつき、異音、着火不良、白煙など)が生じます。例えばシリンダーに深い傷(オイルリング不良)バルブステムシール不良であれば白煙をたきますし、バルブに異状があればガタついたり異音がすると思います。話が広域になってしまいますがこの際どこに不調の原因があるのかだけでも特定しておきたいです。プラグの焼け具合で限定していきます。
 ここである一気筒だけが他と異なっているとし
               a,プラグを入れ替える
               b,キャブを入れ替える(独立タイプ)
 a,でプラグにつられて不調個所が移動すればプラグがダメ。同一個所で起きても引き続きb,を行い同様に移動すればキャブが怪しいという事になる。a,bを行っても同一個所であれば其の気筒はとても怪しいことになる。焼けすぎであれば、インマニ等で二次空気を吸っていることもあればヘッドガスケット抜けがあるかもしれません。逆にベタッとかぶっていたら、オイル上がり(下がり)や圧縮不良が考えられます。もしやと思われた方一度試すと範囲が限定され今後の展開が楽?になります。言い忘れましたがバルブクリアランス調整も事前に行っておいてください。
     
      B,良い点火
 ノーマル主義でポイント式であってもさほど問題はないと思いますが、メンテナンスの点でフルトラ化できるのであればそれにこしたことはありません。それ以上(CDI,MSD,MDIなど)は金銭的に許せばいっちゃってください。各パーツ、パートごとに点検していきます。

        a, プラグ
          できればすべて新品にしましょう。レジスタータイプの指定があってもノンレジスタータイプのほうが良いことが多い。
        b, プラグコード
          各コードともある程度一定の抵抗があること。パワー重視であれば数百Ω単位のものを選択する。
        c, コイル
          熱くなりすぎるものや、オイル漏れ、先にひび割れがあるものは交換。CDI用を通常点火回路に使用したり、またその逆で使用しない。
        d, ディスビキャップ、ローター、ポイント
          廉価なので可能な限り新品使用、もしくは定期点検。
        e, その他強化品
          CDI、MSD、MDI等使用するときは、リレーを使用して十分に安定電源を確保し、かつ、確実なアーシングを行うこと。
        f, 点火時期
          スポーツ系キャブレター装着時には、バキューム進角は踏み始めに一瞬の遅角を誘発しレスポンスを悪くするのでなるべく使用しない。ノッキングしない程度にノーマル設定より数度進め、アイドリングで15〜20度、最高進角度数で37度前後に設定する。
        g,電圧
          きちんと電圧がかからないとエンジンはふけません。エンジンをかけて、まず、バッテリー電極で14V前後チャージしているかテスターで計ります。なければオルタネ−ター等修理。次に、コイルの+端子に13〜14V(エンジンは吹かして頂いて結構)きているか計ります。きていなければ配線途中でかなり電圧降下しているので配線の見直しをする。

      C,良い混合気
ここではキャブセッティングに入る前の予備セッティングですから、フュ−エル系全般についてお話します。 

        a, ガソリンタンク
          旧車の場合タンク内のサビ、ゴミが不調の原因になったりします。ある程度走ってガス欠状態のような症状でエンジンが止まり、少し待つとまた走れてしまうような時は結構疑わしいと思います。
        b,フュ−エルポンプ
          メカニカルポンプから交換することにより、短時間に油面燃圧が確保でき始動性が向上します。エンジン内容によって吐出量を選定してください。
          取り付け位置はガソリンタンクの近くでタンクの底ぐらいの高さにします。
        c,燃圧
          0,25〜0,30kg/cuになるようフュ−エルレギュレーターで管理をすること。
        d, フュ−エルライン(イン、リターン)
          必要に応じて容量アップ(ラインの引き直し)を行うこと。
        e, ストレーナー
          キャブのためにも定期的に交換すること。フュ−エルポンプ(電磁ポンプ)内やキャブ本体入り口にもあるので点検すること。

  皆さん如何ですか。思い当たる件があれば幸いです。実際こういったキャブセッティング以前の問題を抱えた車両もよく見受けられますが、複数で絡み合ったりして見つけにくいのも現状です。不調原因がキャブだと思い込む前に一度冷静になって対処することをお勧めします。
 では、良い混合気を生むためのスポーツ系キャブレターセッティングについて話を進めます。
                                     
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